「医療事務」と「調剤薬局事務(調剤事務)」は名前が似ていますが、働く場所も、覚える内容も、受験料も違います。ここでは各試験の主催団体が公表している受験料・合格率を並べて、どちらが自分に向くかを判断できる形に整理します。
先に結論
- 覚える範囲が狭く、短期間で取りたいなら調剤薬局事務。扱うのは調剤報酬のみで、医療事務より学習範囲が限定的です。
- 働ける場所の選択肢を広げたいなら医療事務。病院・クリニックと、規模の大きい職場が対象になります。
- 受験料はどちらも5,000〜7,700円程度で大差ありません。費用差が出るのは受験料ではなく通信講座の受講料です。
- どちらも受験資格は不要で、未経験から受けられます。ただし資格があれば採用されるという性質のものではなく、実務経験の有無が採用に影響します。
まず違いを一覧で
| 項目 | 調剤薬局事務(調剤事務) | 医療事務 |
|---|---|---|
| 働く場所 | 調剤薬局 | 病院・クリニック・診療所 |
| 扱う請求 | 調剤報酬(薬に関する請求) | 診療報酬(診療全般の請求) |
| 学習範囲 | 比較的せまい(薬剤料算定・調剤報酬明細書) | 広い(診療科ごとの算定ルール) |
| 受験資格 | 不要 | 不要(主要な試験の場合) |
| 受験料の目安 | 5,500〜6,500円 | 5,000〜7,700円 |
| 合格率の目安 | 60%〜84.3%(試験による) | 66.7%〜94.4%(試験による) |
| 職場の規模 | 小規模(薬局は少人数運営が多い) | 小〜大規模 |
調剤薬局事務の主な試験と受験料
調剤薬局事務には複数の民間資格があります。主催団体の公式サイトで確認できた内容は次のとおりです。
| 試験名 | 主催 | 受験料(税込) | 実施 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 調剤事務管理士®技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会 | 6,500円(学科・実技) | インターネット試験は随時(90分)/在宅試験は毎月第4土曜日の翌日曜日 | 約60% |
| 調剤薬局事務検定試験 | 日本医療事務協会 | 5,500円 | 毎月第4日曜日 | 84.3%(2024年度/平均80%台) |
いずれも受験資格は問われません。調剤事務管理士®は「受験資格は問いません」と明記されており、調剤薬局事務検定試験も実務経験・年齢の制限はありません。
試験の中身
| 調剤事務管理士® | 調剤薬局事務検定試験 | |
|---|---|---|
| 学科 | マークシート10問(法規・保険請求事務・薬の基礎知識) | 選択問題20問 |
| 実技 | 調剤報酬明細書作成2問(マークシート) | 調剤報酬明細書の穴埋め選択問題8問 |
| 合格基準 | インターネット試験は学科・実技の総合計70%以上/在宅試験は実技各問約60%以上かつ合計約80%以上、学科約80%以上 | 学科・実技それぞれ総得点の60%程度を基準に難易度で補正 |
どちらもマークシート方式で、記述はありません。合格率の差(約60% と 84.3%)は、合格基準の設定の違いが影響していると考えられます(推測)。調剤事務管理士®の在宅試験は学科約80%以上が必要で、基準が高めに設定されています。
医療事務の主な試験と受験料(比較用)
| 試験名 | 主催 | 受験料(税込) | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 医療事務認定実務者®試験 | 全国医療福祉教育協会 | 一般5,000円/団体4,500円 | 66.7%(2025年度実績) |
| 医科医療事務管理士®技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会 | 7,500円(学科or実技免除は5,400円) | 73.6〜84.7%(直近6回) |
| 医療事務検定試験 | 日本医療事務協会 | 7,700円 | 94.4%(2024年度) |
※医療事務の費用の詳細は医療事務の資格費用はいくら?独学と通信講座を比較で解説しています。
受験料だけを見れば、両者に大きな差はありません。「調剤薬局事務のほうが安い」と紹介されることがありますが、差は数千円の範囲です。実際に費用差を生むのは通信講座の受講料のほうです。
どちらを選ぶべきか
| あなたの状況 | 向いているほう | 理由 |
|---|---|---|
| 短期間で取得して働き始めたい | 調剤薬局事務 | 学習範囲が調剤報酬に限定され、覚える量が少ない |
| 求人の選択肢を広げたい | 医療事務 | 病院・クリニックと対象が広く、求人数も多い傾向 |
| 少人数の落ち着いた職場がよい | 調剤薬局事務 | 薬局は少人数運営が中心 |
| キャリアを積んで長く働きたい | 医療事務 | 診療報酬の知識は病院内の他業務にも広がる |
| まず資格の勉強に慣れたい | 調剤薬局事務 | 合格率が高めで、学習の入口として負担が軽い |
なお、両方を取ることも可能です。ただし資格を2つ持っていることが採用の決め手になるとは限りません。どちらか1つを取ったら、次は実務経験を積むほうが優先度は高くなります。
費用差が出るのは受験料ではなく講座の受講料。資料で比べる
BrushUP学びは、全国の通学・通信講座を67,000件以上掲載している資格・スクール情報サイトです。調剤事務・医療事務それぞれの講座を選んで無料で資料請求でき、受講料・学習期間・どの試験に対応しているか・教育訓練給付金の対象かどうかを、手元の資料で比較できます。受験料の差は数千円ですが、講座の受講料は選び方で大きく変わるため、迷っている段階で両方の資料を見ておくと判断しやすくなります。
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正直に押さえておきたいこと
どちらの資格も業務独占ではありません。資格がなくても調剤薬局や医療機関の事務職に就くことは可能です。求人票で「資格必須」とされている場合もありますが、「資格保持者歓迎」「未経験可」の募集も多くあります。
したがって、これらの資格は「未経験でも基礎知識がある」ことを示す材料と位置づけるのが現実的です。資格を取っただけで採用が決まるわけではなく、勤務可能な時間帯や通勤範囲といった条件のほうが採否を分ける場面もあります。
給与水準や資格手当の有無については、職場ごとに大きく異なり、信頼できる横断的な統計を確認できませんでした(不明)。具体的な金額は求人情報でご確認ください。
よくある質問
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出典:JSMA技能認定振興協会「調剤事務管理士®技能認定試験」/日本医療事務協会「調剤薬局事務検定試験」/全国医療福祉教育協会/各主催団体の公式サイト。数値は2026年9月時点で確認できた内容です。受験料・実施日程・合格率は変更されるため、受験前に必ず各主催団体の公式サイトでご確認ください。


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