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日商簿記2級は、経理・会計系の資格の中でも知名度が高く、転職市場でも評価されやすい資格です。結論から言うと、直近の統一試験の合格率は15〜24%程度で推移しており、3級と比べて明確に難易度が上がります。一方、ネット試験(CBT方式)は合格率30%台とやや易しめです。資格手当は月1,000〜5,000円程度が相場という調査データがあり、資格そのもので大幅な昇給が保証されるわけではありませんが、転職時の年収レンジを押し上げる効果はあると報告されています。AI・会計ソフトの普及で「簿記は不要になる」という声もありますが、複数の専門メディアは「AIを使いこなすための基礎知識として簿記の重要性はむしろ増す」という見解を示しています。以下、公的データと複数の情報源をもとに、難易度・年収・将来性の3点を整理します。
難易度:合格率の推移と勉強時間の目安
統一試験(ペーパー試験)の合格率推移
日本商工会議所が公表している統一試験(年3回実施)の直近データは以下の通りです。
| 回 | 実施日 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|---|
| 第173回 | 2026年6月14日 | 4,821名 | 728名 | 15.1% |
| 第172回 | 2026年2月22日 | 6,038名 | 911名 | 15.1% |
| 第171回 | 2025年11月16日 | 6,332名 | 1,492名 | 23.6% |
| 第170回 | 2025年6月8日 | 5,383名 | 1,193名 | 22.2% |
| 第169回 | 2025年2月23日 | 7,118名 | 1,486名 | 20.9% |
| 第168回 | 2024年11月17日 | 7,589名 | 2,187名 | 28.8% |
直近5回の平均合格率は約22%で、回によって15%前後まで下がることもあり、難易度に波があるのが特徴です。
ネット試験(CBT方式)の合格率
| 期間 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 2026年4月〜6月 | 33,659名 | 10,749名 | 31.9% |
| 2025年度(2025年4月〜2026年3月) | 141,072名 | 46,351名 | 32.9% |
| 2024年度 | 124,429名 | 44,359名 | 35.7% |
| 2023年度 | 119,036名 | 41,912名 | 35.2% |
出典:日本商工会議所「簿記2級・3級受験者データ(ネット試験)」(2級のみを抜粋)
ネット試験は通年で受験でき、出題範囲もランダムに抽出されるため、統一試験より合格率が高めに出る傾向があります。ただし年々合格率がやや低下傾向にある点は留意が必要です。
合格率が低い理由
資格の学校TAC「簿記2級の合格率の推移と合格率が低い理由」によると、主な要因として次の3点が挙げられています。
- 3級にはない工業簿記が加わり、特に非製造業出身者には理解のハードルが上がる
- 記述式で計算量が多く、制限時間内に全問を解き切れない受験者が多い
- 2016年度以降、本来1級の範囲だった「連結会計」などが2級の出題範囲に追加された
合格に必要な勉強時間の目安
勉強時間の目安については情報源によって幅がありますが、おおむね次のような数値が報告されています。
- STUDYing「日商簿記2級の独学合格は厳しい?」:3級の知識を前提に150〜250時間程度(1日1〜2時間の学習で3〜6カ月)
- 資格スタジオ「簿記2級・FP2級・宅建を全部取って分かった本当の難易度比較」:250〜350時間程度
簿記3級の学習経験がない場合や、数字を扱う業務に不慣れな場合は、上記より多くの時間がかかると考えられます(推測:3級からの積み上げ学習を含めると、合計で300〜400時間程度を見込んでおくと安全です)。
他の主要資格との難易度比較
上記の資格スタジオの記事では、簿記2級・FP2級・宅建の3資格をすべて取得した著者の実体験として、次のような比較がなされています。
| 資格 | 目安勉強時間 | 特徴 |
|---|---|---|
| FP2級 | 150〜300時間 | 範囲は広いが深さは浅め。暗記中心で対応しやすい |
| 簿記2級 | 250〜350時間 | 数字・計算への得意不得意で個人差が大きい |
| 宅建士 | 500時間以上 | 年1回(10月)のみ実施で、法律知識の暗記量が多い |
この比較では「3資格の中では宅建が最も難しい」「簿記2級はFP2級よりやや難しいが、努力が結果に直結しやすい」という趣旨の見解が示されています。ただし、これは1人の受験者の体験に基づく比較であり、個人の得意分野(暗記型か計算型か)によって体感難易度は変わる点に注意してください。
年収・待遇:資格手当とキャリアへの影響
資格手当の相場
資格Times「簿記2級取得後の転職で年収アップさせるコツは?給料の適正相場まで解説!」によると、簿記2級取得による資格手当は月々1,000〜5,000円程度のレンジが相場とされています。資格手当だけで大幅な収入増を期待するというより、資格取得が評価・昇進・転職時の条件交渉の材料になると捉えるのが実態に近いといえます。なお、支給の有無や金額は企業ごとの規定によって異なるため、必ず応募先の求人票・就業規則で確認してください。
簿記2級保有者と平均年収の差
同記事では、年代別に簿記2級保有者の年収と全体平均を比較したデータも紹介されています。
| 年代 | 全体平均年収 | 簿記2級保有者の年収 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 20代 | 341万円 | 388万円 | +47万円 |
| 30代 | 437万円 | 511万円 | +74万円 |
| 40代 | 502万円 | 600万円 | +98万円 |
出典:資格Times「簿記2級取得後の転職で年収アップさせるコツは?給料の適正相場まで解説!」
また、同記事では実務経験別の求人年収レンジとして、未経験250万〜350万円、実務1年以上300万〜480万円、実務3年以上350万〜650万円というデータも示されています。年収の伸びは資格そのものよりも実務経験の積み重ねに強く連動する傾向がうかがえます。
転職市場での評価
簿記2級は経理・会計職の求人で「必須」または「歓迎」条件として挙げられることが多く、未経験からの経理職転職における最低ラインとして扱われる場面が目立ちます。ただし、簿記2級だけで採用が決まるわけではなく、実務経験・Excelスキル・会計ソフトの操作経験などと合わせて評価されるのが実態です。中小企業の経理職や、税理士事務所・会計事務所のアシスタント職などでは、簿記2級が応募条件として明記されるケースも多く見られます。
将来性:AI・会計ソフトの普及で簿記は不要になるのか
クラウド会計ソフトや生成AIの普及により、仕訳入力や試算表作成といった定型的な記帳業務は自動化が進んでいます。この流れから「簿記の知識はもう不要になるのでは」という声が一定数あるのは事実です。
一方で、MS-Japan「簿記資格の将来性、生成AI台頭でどう変わる?経理の仕事に必要なくなるのか」では、生成AIはあくまで業務を「サポートする」ツールであり、それを使いこなすのは人間であるという立場から、次のような場面でむしろ簿記の知見の重要性が高まると指摘されています。
- AIが処理しきれない例外的な取引パターンへの対応
- AIが作成した書類・仕訳の内容が正しいかを検証する場面
- 会計データを経営判断に活かすための分析・意思決定
- 会計ソフト導入や業務フロー構築時の判断
つまり、単純な入力作業はAI・ソフトに置き換わっていく一方で、「その数字が正しいかを判断できる知識」「AIの出力を検証できる基礎力」としての簿記の価値は残る、というのが複数の業界メディアに共通する見解です。断定はできませんが、少なくとも「簿記2級は完全に無価値になる」と言い切れる根拠は今回の調査では確認できませんでした。将来的にAIがさらに高度化した場合の影響については不明であり、今後の技術動向を注視する必要があります。
簿記2級の取得方法として独学と通信講座のどちらが向いているか気になる方は、簿記2級は独学と通信講座どちらがいいか比較した記事もあわせてご覧ください。学習コストを抑えたい方は、簿記2級で使える教育訓練給付金対象講座のまとめで実質負担額を確認するのもおすすめです。簿記2級の通信講座を比較したい方は、簿記2級の通信講座比較ページから各社の料金・特徴を横並びで確認できます。
よくある質問
※本記事は2026年8月時点の情報に基づきます。
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