キャリアコンサルタントの資格は仕事につながる?年収と活動の場を公的データで確認

試験情報

キャリアコンサルタントの登録者は86,370人(2026年3月末・厚生労働省)。一方で、初回更新を迎えた人のうち実際に更新したのは68.5%で、約3割が資格を手放しています。年収も調査では約47%が400万円未満です。この記事では「資格を取ったあと実際にどうなるのか」を、厚生労働省と労働政策研究・研修機構の公表データだけで確認します。

結論:この資格は「単体で稼ぐ免許」ではなく「今の仕事に足す資格」

公表データから読み取れることは、次の3点に集約されます。

  • 資格そのものが独占業務を持たない。名称独占資格であり、この資格がないとできない仕事は存在しない
  • 活動の場の8割以上が「雇われて働く場所」。民間の就職支援機関、ハローワーク、学校、企業が中心で、独立開業は主流ではない
  • 約3割が5年後に更新していない。更新には5年ごとに38時間以上の講習と費用がかかるため、活かせていない人は離脱している

したがって、「この資格を取れば転職できる・独立できる」という前提で費用を投じると期待外れになります。逆に、人事・採用・教育・人材紹介・学校事務・支援職など、すでに人と関わる仕事に就いている人が専門性の裏づけとして取得する場合は、投じた費用に見合いやすい資格です。

登録者数は86,370人|上位資格まで進む人はごく一部

国家資格キャリアコンサルタントは2016年4月に創設されました。厚生労働省の資料によると、2026年3月末時点の登録者数は86,370人です。上位資格にあたる技能検定の合格者数は次のとおりです。

資格 人数
国家資格キャリアコンサルタント(登録者) 86,370人
キャリアコンサルティング技能士 2級 13,192人
キャリアコンサルティング技能士 1級 864人

登録者が8万人を超えている一方、1級技能士は864人しかいません。「資格保有者が増えて価値が下がった」と言われることがありますが、正確には入口の資格保有者が増え、上位層は依然として希少という構造です。

どこで働いているのか|活動の場の内訳

厚生労働省の調査による、キャリアコンサルタントの活動の場は次のとおりです。

活動の場 割合 具体例
民間の就職支援機関 41.7% 人材紹介会社、再就職支援会社、転職エージェント
公的就労支援機関 20.6% ハローワーク、ジョブカフェ
学校・教育機関 15.1% 大学・短大のキャリアセンター、民間教育訓練機関
企業 10.7% 人事部門、社内キャリア相談窓口
地域・福祉 5.4% 地域若者サポートステーション、女性センター
その他 6.5%

1つ目に読み取れるのは、最大の受け皿が民間の人材紹介・再就職支援であることです。4割がここに集中しています。この領域では資格そのものより営業実績や求人開拓力が評価されることも多く、資格は「応募条件を満たす」「面接で説明材料になる」役割にとどまる場合があります

2つ目は、企業内が10.7%と少ないことです。「セルフ・キャリアドックの普及で企業内の需要が増えている」と語られますが、実数としてはまだ1割程度です。企業内キャリアコンサルタントを目指す場合、資格取得より前に、その企業の人事部門に入ること自体が先の課題になります。

年収の実態|約47%が400万円未満

労働政策研究・研修機構(JILPT)の「キャリアコンサルタント登録者の活動状況等に関する調査」による年収分布です。

年収帯 割合 累計
200万円未満 13.6% 13.6%
200万〜400万円未満 33.2% 46.8%
400万〜600万円未満 21.5% 68.3%
600万〜800万円未満 14.1% 82.4%
800万〜1,000万円未満 7.5% 89.9%
1,000万円以上 7.9% 97.8%

約47%が年収400万円未満、13.6%は200万円未満です。200万円未満の層には、非常勤・週数日勤務・副業として活動している人が含まれると考えられます(推測:調査では就業形態別の内訳は示されていません)。一方で1,000万円以上も7.9%います年収の幅が非常に広く、平均値で語ることに意味がない資格だといえます。

この年収データを読むときの注意

この調査の年収は「キャリアコンサルタントとしての報酬」ではなく、回答者の年収全体です。企業の人事部員が資格を持っている場合、その人の年収は本業のものです。「資格を取ればこの年収になる」という読み方はできません。

約3割が更新していない|維持コストの現実

厚生労働省の資料によると、資格取得から5年を満了した人のうち、初回の更新を行ったのは68.5%です(2026年3月31日までに満了した人が対象)。約3割が更新せず、資格を失効させています。

項目 内容
更新の周期 5年ごと
知識講習 8時間以上(厚生労働大臣指定)
技能講習 30時間以上(厚生労働大臣指定)
更新登録手数料 8,000円(非課税)
申請できる期間 有効期間満了日の90日前から30日前まで
免除規定 技能検定キャリアコンサルティング職種の1級・2級に、前回の登録・更新から5年以内に合格した場合は講習が免除される(1級取得者は技能講習が常に免除)

講習費用は実施機関によって異なりますが、知識講習・技能講習を合わせて数万円から10万円程度が目安です(推測:機関ごとに大きく異なるため、受講前に各機関の公式サイトで確認してください)。つまり5年ごとに38時間以上の時間と費用がかかり続けます。取得を検討する段階で、この負担を織り込んでおいてください。

この資格が活きる人・活きにくい人

活きやすい 活きにくい
今の仕事 人事、採用、教育研修、人材紹介、学校のキャリア支援、就労支援 人と関わる業務が現在の職務に含まれていない
目的 現職での専門性の裏づけ、社内での役割拡大、同業への転職時の説明材料 未経験からの転職の切符、独立開業
資格の使い方 実務経験と組み合わせる 資格単体で評価されることを期待する
費用の考え方 会社の補助や教育訓練給付金を使い、実質負担を下げる 全額自己負担で、回収時期を決めていない

「未経験からキャリアコンサルタントとして転職する」ルートは、データ上は主流ではありません。活動の場の4割を占める民間の就職支援機関は、資格よりも人材業界の経験を重視する求人が多いためです。ただし資格を持っていることで応募時に志望動機の説得力が増すのは事実です。「資格=内定」ではなく「資格=説明材料」と捉えると、期待値を誤りません。

関連する資格

資格 関係
キャリアコンサルティング技能士 2級 国家資格の上位。実務経験が必要。取得すると更新講習の免除対象になる
キャリアコンサルティング技能士 1級 最上位。全国で864人。指導者レベル
社会保険労務士 人事・労務の法的な業務を扱える国家資格。企業内で組み合わせると業務範囲が広がる
産業カウンセラー 民間資格。メンタルヘルス寄り。キャリアコンサルタントと出自が近い

企業内で働くことを目指すなら、社会保険労務士との組み合わせが実務上の相性がよい方向です。相談対応(キャリアコンサルタント)と制度・手続き(社労士)は、人事部門で隣り合う業務だからです。

取得を決める前に確認しておきたいこと

  1. 養成講習の費用(30万円前後)を、何年で回収するつもりかを決める。回収の当てがない場合は取得を急がない
  2. 教育訓練給付金の対象講座かを確認する。専門実践教育訓練の対象なら、条件を満たせば最大80%が戻る
  3. 勤務先に資格取得の補助制度がないか確認する
  4. 5年ごとの更新負担を許容できるかを考える

修了後の支援体制まで含めて養成講習を確認する

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結婚などで姓が変わった場合は、登録の変更手続きが必要になります。届出先と期限は資格を持つ人が結婚で改姓したときの手続きで整理しています。

よくある質問

Qキャリアコンサルタントの資格は「食えない」と言われますが本当ですか?

資格単体で生計を立てている人は多くありません。調査では約47%が年収400万円未満で、13.6%は200万円未満です。一方で1,000万円以上も7.9%います。この資格は独占業務がない名称独占資格のため、実務経験や勤務先と組み合わせて価値が出ます。「資格だけで稼ぐ」前提だと期待外れになります。

Q登録者は何人いますか?

2026年3月末時点で86,370人です(厚生労働省)。上位資格のキャリアコンサルティング技能士は2級が13,192人、1級が864人です。

Qどんな場所で働いている人が多いですか?

最も多いのは民間の就職支援機関(人材紹介会社・再就職支援会社)で41.7%です。次いで公的就労支援機関(ハローワーク等)20.6%、学校・教育機関15.1%、企業10.7%、地域・福祉5.4%と続きます。企業内での活動は約1割にとどまります。

Q資格は5年ごとの更新が必要ですか?

必要です。5年ごとに、厚生労働大臣指定の知識講習8時間以上と技能講習30時間以上を受講し、更新登録手数料8,000円(非課税)を納めます。申請は有効期間満了日の90日前から30日前までです。技能検定1級・2級に一定期間内に合格していれば講習が免除されます。

Q更新しない人はどのくらいいますか?

初回の更新時期を迎えた人のうち、実際に更新したのは68.5%です(2026年3月31日までに5年を満了した人が対象・厚生労働省)。つまり約3割が更新していません。5年ごとに38時間以上の講習と費用がかかるため、資格を仕事に結びつけられていない人が離脱していると考えられます。

Q未経験から転職に使えますか?

データ上、未経験からの転職ルートは主流ではありません。最大の受け皿である民間の就職支援機関は、資格よりも人材業界の経験を重視する求人が多いためです。ただし応募時の志望動機に説得力を持たせる材料にはなります。「資格=内定」ではなく「資格=説明材料」と捉えるのが実態に近い見方です。

Q独立開業はできますか?

制度上は可能ですが、活動の場の内訳を見ると独立は主流ではありません。独立して収入を得ている人の多くは、研修講師や企業向けコンサルティングなど、キャリア相談以外の業務も組み合わせています。資格取得の直後に独立を前提にするのは現実的ではありません。

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